―――僕に勇気を、ください‥‥
意識が、戻る。 ぼんやりと瞳にうつる天井の色が、記憶の中にある故郷コロニーの天井そらの色に見えた気がした。
今、俺は。
何の夢を、見ていた?
懐かしさの残る、もどかしい感覚。
突然、独房の扉が、開く。 その場所に、誰かが立っている。 光りが差し込み、その人から影が伸びる。
一瞬、重なる既視感デジャ・ヴュ。
―――――お前、
とたん、さきほどまでの夢が、脳裏に鮮やかに蘇った。
お前は―――――いや、
黒い髪が揺れ、その下に碧い瞳が映った。 いつか夢見た、遠い過去に仲間が夢見た、大きく温かい惑星の色。 自分の体に流れる祖先の血が、その色を懐かしがる感覚が駆け抜ける。
「右手は動くな―――――?」
お前はヒイロ、か。
その名に身震いを覚えた。 殺しに来たんじゃないのか? 俺を?
「あぁ」
これは夢、か? ‥‥‥違う。
「お前、本当に神出鬼没だな、ヒイロ」
願わくば これが、決して目覚めぬ夢でないことを。
いま 私の願いが叶うならば翼が欲しい
この大宇宙ぞらに想いを広げ、はばたけるように
悲しみのない自由なそらへ 想いはためかせ、飛べるように
二人で行こうか、地球したへ
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